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August 22, 2008

アイデアづくり

昨日(20日)の日経新聞五面に「特許権 乱用防止へ指針
という見出しの記事がありましたが、ちょっと気になったのは
「米国では自ら製品をつくったり販売したりしないのに、例えば
経営不振企業から特許を安く買い集め、、<中略>こうした
企業の一部は「パテントトロール(特許の怪物)」と呼ばれ、
社会問題になっている」というところ。

本当に、問題ということであれば、もちろん対応すべきことです。
ただ、「乱用」という言葉や解釈が、法の場でまさに乱用されて
しまうと、また、外国から見ると障壁があるように見えて、日本の
ガラパゴス島化につながってしまう恐れがあると感じました。

一方、アメリカではこんな会社もあります。元マイクロソフト社の
「天才児」が2000年に立ち上げたものですが、どちらかというと
「自ら製品をつくったり販売する」ということよりInventionをつくって、
それを販売するというモデルです。自社のInventionもあれば、
世界に眠っているInvention(つまり特許権)を獲得することも
あるようです。

モノづくり中心ではなく、アイデアづくり中心ということなんでしょう。
手足はもちろん必要ですが、意図的でないとしても、頭脳の発展に
障壁をつくるようなことに日本は避けなければならないですね。

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Comments

いつも楽しみに読ませていただいております。

メーカーで特許訴訟を担当しており、Patent Trollの話は存じ上げております。そんな自分が、今回の日経新聞の記事を読んだときには、正直違和感を感じました。

その感じた意図というのは、なんとなく、第二次世界大戦の時みたいな、大本営発で、新聞が世論を形成させようとしているようなものです。

こう感じた理由というのは、恐らく、一方的な決めつけ的な面があり、現実をうまく捉えられていないからだと思いました。

捉えられていない現実とは、米国特許制度は、この業界の人はみんな分かっていることとして、正直大きな欠陥を抱えていることです。ただ、米国には、そのような欠陥を抱えながらも、是正していくシステムも内在しています。そして、企業は、それらが一体となったルールに基づいて、体力勝負・ガチンコ勝負で戦っていく、というものです。そして、余力のある企業は、そのルール作成自体に影響を及ぼしていく、というものです。

故に実体は、安直に勧善懲悪的に、企業を乱訴に導いている輩がいるという状況ではなく、実体としては、権利者がその権利を行使しているだけのことです。これは、個人発明家・特許管理会社であれ、大資本を持った企業であれ、同様です。日本の企業がアメリカに進出する際に、それが競合会社のアメリカの会社に脅威を与えるのであれば、真に特許を侵害しているか否かは別にして、訴訟を仕掛けられます。これは一定のルール上に則って行われていることであり、文句があるのであれば、当然そのルール上で行わなければいけません。実体として、競合の特許を潰していくなり、さらに良い商品を開発して特許を得て、彼らを市場から駆逐するなりです。

結局、企業はこのような輩に対処できないのであれば、本来の戦いである競合会社との戦いには勝つことが出来ない、ということです。

単に権利を「乱用する」かの如く見える輩がいることについて一面を捉えて批難するのでなく、米国での社会制度における存在(entity)として、厳然たる事実を正面から見つめ、外部から自社に対してある意味、牽制を仕掛けてくる存在として「うまく」付き合っていくことで、日本企業のリスク管理能力・管理体制が強化されていくのではないでしょうか。

資本社会における企業同士の戦いは総力戦です。

このようにPatent Trollを(逆の面から)ポジティブに考える人は正直他にいないかもしれませんが、戦略を遂行するものとしては、ここも含めて考えるべきであるかと思います。また、日本国全体も、自らの考え方を押しつけるのではなく、相手の土俵・ルールにたって物事を考える、進めるということを忘れるべきではありません。今後、競争は新興国の市場を含めたものとなってきます。その中で、個々にLocalisedした戦略を用いることが、グローバルに勝ち抜いていく上での必須要件だと思います。


Manabu Takaiさま、

日常のお仕事からのリアルな視点を共有していただき、
大変ありがたく存じます。

どうもありがとうございました!

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