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September 17, 2010

アルファとベータ

個別の株式やファンドのパフォーマンスを計る尺度に
アルファとベータというポートフォリオ論の数値があります。

ベータ値(β)は、市場平均(マーケット)の連動性を示す
指標で、個別株式やファンドの変動の大きさがベンチマーク
の価格変動に比べて大きいか小さいかを表します。「市場
感応度」と言っても良いでしょう。

ベータ値が1であれば、市場平均と同じ値動きをしたこと
を示し、また1より大きければ市場平均より値動きが大きく、
1より小さければ市場平均より値動きが小さかったことを
示します。

一方、アルファ値(α値)とは、ベータ値(つまり、マーケット
の上下だけ)では説明できない「超過収益」のことを示します。

平たく言えば、マーケットが1%上昇したときに、ベータ値が
0.9のファンドのパフォーマンスが1.5%の場合、0.9%
の分はベータ値で「説明できる」けれども、0.6%の分は
「説明できない」アルファ値になるということです。

そういう意味では、インデックス投資は市場平均そのもの
の投資なので、ファンドのベータ値は1.0、そして、アルファ
値は0%になります。「パッシブ運用」愛好者は、どんなに
マネジャーががんばっても長期的にはアルファを創出すること
ができないと考え、余分な運用コストを省く投資を好みます。

一方、「アクティブ」運用愛好者は、そんなことない!とマネジャー
の存在感に敬意を表し、アルファという超過収益を目指す投資
を好みます。

ヘッジファンドが目指す運用実績は、ベータ値がゼロ(つまり、
マーケットリスクをヘッジする)で、アルファ値で稼ぐということ
です。一般的に、ファンドにベータのリターンは運用フィーを
払うべきではないが、アルファであれば運用フィーを払うべき
という考えがあります。(だから、ヘッジファンドの運用は高コスト
なのです。)

もちろん、コモンズ30はヘッジファンドではありません。ただ、
30年目線では、投資家は「平均」に満足すべきではないと
考え、「アクティブ運用」によって超過収益を目指しています。

と、いうことは、コモンズの運用実績(パフォーマンス)にマーケット
の上下(ベータ)だけではなく、アルファがなければなりません。

コモンズ30ファンドの設定来のアルファとベータを検証しました。
(アルファ、ベータ両方とも比較する「平均マーケット」の対象により、
 数値が変わります。)

コモンズ30のベータ値
・対TOPIXコア30 0.75
・対TOPIX     0.92
・対日経225   0.80
コモンズ30は、マーケット平均と比べると変動が低かった
という性質が現れてきます。

コモンズ30のアルファ値
・対TOPIXコア30 17.16%
・対TOPIX      13.09%
・対日経225    8.13%
コモンズ30は、かなり超過収益性が高かったという性質が
現れてきます。

これほどの大きな違いが生じたということは、設定来の
コモンズ30ファンドの運用パフォーマンスを市場平均と
比較した表や図に目を通すだけで概ね納得できると
思います。
20100917table_2
20100917chart

ここが重要なポイントですが、上記のアルファとベータの分析は
過去のものです。つまり、過去(設定来の約1年半)の実績
ではこのような性質が「あった」ということですが、これからの
実績でこのような性質が「ある」という訳ではありません。

定量分析は、あくまでも過去のもの、そして、過去でも分析
期間によって経過が異なる。この大前提を常に考慮しながら
運用実績を判断するように心掛けてください。

したがって、「お約束」や「保証」はありません。ただ、自分的
には、株式運用はインデックス投資ではなくコモンズのような
アクティブ運用の方が楽しめそうな感じがします。

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