長期投資にはインデックス投資がもっとも有効的、と思う方々が
少なくありません。なぜなら、多くの文献が、パッシブ運用
(インデックス投資)の運用コストと比べるとアクティブ運用の
コストが高い割には、パフォーマンスの差が出ていないという
結論を示しているからです。
人々がそれぞれの価値観によって市場参加することが大切
なので、何が「正しい」「間違っている」という議論は意味ない
と思います。将来が確定できない投資の世界では、自分の
価値観やスタイルにあった運用に取り組むことが何より意味が
あるからです。
ただ、私は日本株式の場合、インデックス投資はは、これからの
長期投資には合わない、と思っています。
理由は、下記の簡単な図で示しています。
これからの日本は、継続的に右上がりする全体的な経済成長は
期待できません。ただ、世界の成長を価値創造として取り組む
ことができる日本企業は、もちろん存在します。
したがって、全体や平均が右上がりするのではなく、一部が企業
価値の継続的な創造に成功すると思うのです。この現象を、非常に
短絡的に「勝組」「負組」に分けるとします。
ケース① 非対称的に「勝組」「負組」の分数が偏る
全体の20%が「勝組」となり、年に5%株価が上昇する。
全体の80%が「負組」となり、年に5%株価が下落する。
→ 30年間、インデックスがほとんど横ばいになります。
ケース② 対称的に「勝組」「負組」が分かれる
全体の50%が「勝組」となり、年に5%株価が上昇する。
全体の50%が「負組」となり、年に5%株価が下落する。
→ インデックスは上昇しますが、30年間で「勝組」の半分ぐらいです。
ケース③ 非対称的に「勝組」のパフォーマンスが偏る
全体の50%が「勝組」となり、年に10%株価が上昇する。
全体の50%が「負組」となり、年に5%株価が下落する。
→ 「勝組」は30年間でインデックスの倍ぐらいですが、ケース②の
対照的な パフォーマンス「勝組」と比べると4倍ぐらいになります。
ケース④ 非対称的に「勝組」のパフォーマンスと分数が偏る
全体の20%が「勝組」となり、年に10%株価が上昇する。
全体の80%が「負組」となり、年に5%株価が下落する。
→ インデックスの30年間のパフォーマンスは「勝組」と比べると
1/5ぐらいにしかなりません。
もちろん、「勝組」が30年間、常時、「勝てる」訳ではありません。
しかし、「勝った」場合の差が年間5%や10%ということでもなく、
もっと大きな差になるでしょう。仮に、ごく少数が著しく高い超過
パフォーマンスを出した場合でも、ポートフォリオとしてはインデックス
を充分に上回ることができるのです。
過去の右上がり高度成長によって、全体や平均が右上がりの場合は
インデックス投資で良かった【過去系】ということは言えると思います。
が、これからの日本における投資環境でインデックス投資で良い
【未来系】とは言えないと思うのです。
このように考え始めているのは、私だけではありません。
たとえば、6月28日のコモンズ30塾にお招きする堀江貞之さんは、
日本の年金運用研究の第一人者ですが、「日本株の長期集中投資」
の論点を整理し、「受託者責任」を果たすためには必要であると分析
されています。
一般個人の長期投資と、その同じ個人が「受益者」となっている年金
運用では、本来、運用の考えの根底が同じであるはずです。いろいろ
気づきをご提供していただけると思います。ご都合がよろしい方々の
ご参加をお待ちしております!
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