今朝の新聞報道によると、政府税制調査会は消費税増税に
合わせ、所得税の最高税率を現行の40%から45%に引き
上げることの「調整」に入ったようです。
消費税増税は、負担感が増す低所得者の「不公平」である
ということが、一般的論調になっていて、「高所得者」ほど
税負担が重くなる累進制が当たり前とされています。
これが当たり前であれば、日本国民(メディア?)の思考停止
ではないかと危惧しています。
各社の記事がほとんど同じだったので、なんか、記者クラブで
配布された資料をそのまま記事にしている感じがしますね。
① 「高所得者」について。ある新聞は「富裕象」という言葉を
使っていましたが、年収が1800万円が「高所得」、「富裕」
の定義であれば、本当に日本は超中流社会へと陥ることに
なるでしょう。
② 「不公平」について。年収1800万円で独身、同じ年収で
結婚している。同じ年収で子どもが三人いる。扶養家族の
控除があったとしても、この三つの世帯が同じ所得税を
課税されることこそ、「不公平」ではないでしょうか。
日本と経済社会福祉的思想が異なるアメリカの税率と比べても
あまり意味がないかもしれませんが、近いと思われるドイツの
所得税の最高税率は45%になります。
ところが、高所得=250,730ユーロ(約2500万円)であり、かつ、
結婚している場合は501,460ユーロ(約5100万円です。
また、法人税は15%。これに、Solidarity Tax【5.5%】および
Trade Tax【14.4%】を足すと、実質税率は29.38%と、日本の
法人税率(40%)より低いです。また、1997年には、この税率が
55%だったので、財務環境的にドイツ企業が日本企業より競争力
が増すのは、通貨(ユーロ安、円高)だけではないということが
わかります。
そして、消費税(Value Add Tax)。ドイツは19%です。もちろん、
食品、本・雑誌、交通費と(なぜか)花は7%になるのです。
消費増税による低所得者への「不公平感」が、このように
生活必需品に対する税率を低くするということは先進国では
当たり前のことです。
因みに、社会福祉国家の優等生といわれるフィンランドの
消費税は23%です。そして、もちろん、食品、そして外食まで
税優遇があります(13%)。交通・家賃は9%です。
なぜ、日本の優秀な役所が同じように消費増税率の「仕訳」
ができないのでしょうか?
これは、既存勢力への政治的な「総合的判断」としか言いよう
がないです。あるいは、「そんなことできない」という思考停止。