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September 06, 2013

ミャンマー DAY5

視察の最終日はヤンゴン市内の国立病院から始まりました。 医長さんは笑顔いっぱい
ですが、責任は重大。ここは、HIV患者の特別病院です。

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HIVは免疫力を著しく減少させるので、結核など他の疾患にかかりやすくなります。
ただ、診断されて、ART(抗レトロウイルス治療)によって、概ね支障がない生活を
送れることができます。治療に使われる薬は世界基金の資金によって無料で供給
されています。

しかし、厄介なのは、早期には症状が特に目立たないということです。CD4という
免疫力の数値が350以下になると、他の疾患の感染が高まるので、治療を始め
なければなりませんが、この病院に入院する患者のCD4は50ぐらいだそうです。

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政府は建物や人件費などを負担しますが、なかなか薬まで負担できる予算がなく、
世界基金が存在していなければ、このような特別病院での治療は持続することが
できないということが現実です。また、そもそも患者がHIVに感染しているということ
がわかるための簡易キットも世界基金がなければミャンマー社会に供給すること
ができません。

また、「病院」と言っても、日本でイメージしているような清潔なものではありません。
プライバシーも、ありません。視察という言いながら、苦しんでいる患者さんの
スペースにお邪魔をして、心が痛みました。

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この病棟は、数年前に日本政府がミャンマーへ寄付したものであり、受付や
相談室などが入っていました。

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病院の視察を経て、お隣りの「建物」へ移動して、NGOが運営しているクリニックを
視察しました。国営病院とNGOとの機能のすみ分けはないようです。つまり、政府が
HIV患者向けの施設がなかったので、NGOがこのようなクリニックを運営していると
いうのが今までの状態のようです。国営病院の数やキャパシティが増えてくれば、
NGOの活動を減らすことができるということです。

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このNGOは、日本でも有名な国境なき医師団です。

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国立病院と比べると、プライバシーがもうちょっと確保されている感じがしました。
ただ、隣同士なのに、国立病院は彼らの視察を許していないようで、お互いから
学ぶというシナジー効果がないことが残念です。

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これは、血液検査室。 病院もNGOクリニックも、ほぼ「野外」という感じです。

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また、これは池ではありません。病院とNGOクリニックの外は、雨季の溜り水で
囲まれています。日本人感覚の「清潔」というイメージから程遠いですが、命が
関わっているので、ゼロ状態よりマシということでしょう。

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午後の視察も、また、強烈でした。Drop-In という施設で、ゲイ、売春婦、麻薬
中毒者へのHIV予防を啓蒙する活動です。行き場所を失った彼ら・彼女たちの
憩いの場でもあります。

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夫を亡くし、5歳の子どもを養うために体を売り始めたという女性が自分の
ストーリーを話してくれました。再婚したが、売春していたことが再婚先の
家族にばれて、離婚。家族からも見捨てられ、子供を養うために再び売春へ。
5歳の子は、現在、16歳になっていますが、自分自身はHIV+になっている。。

「この場所が無くならないようにお願いしたい」という彼女たちの願いが、視察団に
重く伸し掛かりました。

遠い国のことであるし、日本国内で財源が必要な社会問題がたくさんあるので、
自分の見回りからやるべし。確かに、そのような側面があるかもしれません。
しかし、たまたま産まれた国や環境が異なるだけで、これだけの別世界がある。
日本が、彼らのためにやれることは有るはずということが、その場にいた視察団
の我々が感じたことだと思います。

世界基金が、今後の3年間で目指しているのは、100億ドルから150億ドルへの
50%増です。その内、米国は50億ドルまでコミットしていますが、全体の1/3
以下という制限もあるので、他の各国が拠出金を増やす必要があります。フランス
は、15億ドルを既にコミット済みで、英国も同じぐらいの水準になるようです。

世界基金が期待しているのは2007年から2012年の平均から比べて(総額と同様の)
50%増です。年間、300億円の予算が必要となる計算になります。かなりの金額
ですが、日本の就業者数の約6000万人が、毎月42円(~年500円)を負担して
くれれば賄われる金額です。

安倍内閣が、胸を張って、世界に伝えるメッセージは何になるのでしょうか。

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