若い世代のNISAの恒久化
日本FP協会東京支部/東京証券取引所/日本証券業協会が共催した
“くらしとおかね”の講演会&パネルディスカッションに登壇しましたが、
250名の募集のところ、あっという間に470名の応募があったようです。
テーマはNISA「少額投資非課税制度」。
直近現在の金融機関におけるNISA口座数は約600万と言われていますが、
証券会社の個人顧客口座数が2140万であり、NISAは一人当たり一口座に
限定されていますが、証券口座の場合は一人が複数を持っています。一人の
平均が2口座で、ほとんどのNISA口座が既存の個人だと想定すると、証券会社
が、かなりNISA口座の開設にがんばって営業したという実体が浮かび上がって
きます。
年代別ですと、60歳以上が全体の65.2%とかなりの割合を占めています。
一方、40~50代が26.3%、そして、20~30代がたったの8.6%です。
つまり、お金を持っている世代がNISAに関心を示していることがわかります。
ただ、NISAは「お金持ち」のための制度ではありません。本来の目的は「お金
づくり」のためです。非課税枠が年間100万円に限られていると、お金持ちに
それほど魅力を感じる制度ではありません。また、恒久制度ではなく、5年間の
時限的措置になっているのは、100万円X5年=500万円ぐらいであれば
「お金持ち優遇」と批判されないだろうという判断だったようです。(もともとは
100万円X10年=1000万円で、これだと「お金持ち優遇」であるという
判断があったようです。)
これでは、本末転倒で、NISAという制度の設計ミスであり、色々なところから
改正要望が、日本証券協会を含め、色々なところから出ているようです。
では、こんな改正はどうでしょう。
・20~30際代に株式投資への関心を高めるために、彼らの世代を先行して
制度を恒久化する。60歳以上の世代と比べると、この世代は、あきらかに
「お金持ち」ではありません。だから、「お金持ち優遇」の批判を心配する理由が
全くありません。この世代に若い年齢のときから資産形成に取り組むことを
促進することは、彼ら本人の老後の生活にとっても、日本の経済社会の未来に
とっても、極めて重要なことです。彼らを優先してインセンティブを与えることは
理にかなっていると思います。
・未成年のためのジュニアNISA制度を設置する。そして、もちろん、この世代は
当初から非課税枠の恒久化が必要です。子供の誕生を祝ってNISAを初めても、
5年しか続かないことは、短すぎて、意味ないです。
NISA口座を既存の「株をやっている」層だけではなく、いままで株式投資と縁が
なかった層を呼び込む制度として確立するには、やはり、若い世代を優先する
インセンティブが必要です。