「見えるリスク」と「見えないリスク」
ある会合で、ふと思ったこと。 「リスク・リターン」と良く言われ、
リターンを高めるためにはリスク許容を高めなければならなく、
リスクを取るのであれば、リターンが高くなければ駄目
という関係です。
で、この「リスク」ですが、実は定義が曖昧に使われていると思います。
例えば、一般的にリスク=「危険性」というイメージがありますが、
これは正確ではありません。リスク=「不確実性」が正解です。
つまり、30階建ての窓から飛び降りた後は、リスクがありません。
なぜなら、ほぼ100%の確率で死亡するからです。
一方、30階建てからパラシュートを付けて飛び降りたら、リスクがある。
なぜなら、無事に着陸できるかもしれないし、パラシュートが絡まって
開かなくて怪我、あるいは死亡するかもしれないと、不確実性が有る
からです。
また、リスクには「見えるリスク」と「見えないリスク」が有ると思いました。
そして、ほとんどの場合、一般的に「見えるリスク」しか着目していない
傾向があると思います。
その「見えるリスク」とは価格です。価格の変動が高ければ、高いほど
リスクが高まります。これは、市場リスクという分類です。
一方「見えないリスク」とは何か。これは価値だと思います。価値とは
投資では最も重要な判断材料ですが、実は、不確実性だらけで、
なかなか全てが見えるわけではない。これは、信用リスクという分類
です。
前者は、価格の動向を検証すれば、直ぐに見えるものです。
一方、後者は、なかなか本質が見えずらいリスクなので、一般個人の
場合は、そのまま見えていなくて取っているリスクの場合が多いです。
一方、プロと言われる機関投資家などでも、逆に安易に信用の不確実性
を数値化してジャッジする傾向があります。
価値創造の本丸は、この信用というリスクなんですけどね。
そういう意味で、信用リスクを考える上で必要なことは、目先の数値だけ
で不確実性を判断するのではなく、その不確実性が確実性に向う
道筋が明らかであることだと思います。透明性が大事ということです。
透明性が高い信用リスクであれば、取るべきリスクであり、そこから
リターンを期待すべきです。 一方、ワケわからない、透明性が低い
信用リスクは避けることが賢明でしょう。