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November 10, 2015

オランダから色々と学んだ日

今日は色々と良い刺激を受けたセミナーに参加しました。

オランダ王国と慶應義塾大学が共催した年金セミナー
The Financial Sustainability of Ageing Societies
~The Future of Pensions and the Role of the Private Sector~

私はCorporate Social Responsibility in Pension Management
という分科会でオランダの公的年金を運用するAPG Asset
Management
のサステナビリティとガバナンスを担当する
Y.K.Parkさんと一緒のトークセッション。

オランダの人口は約1680万人で日本の一割強に過ぎませんが、
APGの資産運用残高は€3400億(45兆円)で日本のGPIF
(約140兆円)の三割強という世界最大級の機関投資家です。
オランダでは月収の15~20%を年金に給付することが義務
付けられているようなので、それがAPGの巨大化につながった
のでしょう。)

Parkさんの仕事のほとんどは、投資先の会社のガバナンスを
監視しているようで、彼女からの承認がないとポートフォリオに
組み込まれることがないようので、APGのESG(環境、社会、
ガバナンス)の取り組みは筋金入りです。

Parkさんによると、「エンゲージメントとは投資先企業で問題が
生じたときに直ぐ売却するのではなく、問いかけの対話に努める」
などコモンズ30の投資理念とシンクロしていることが多いと
感じて、心強かったです。

最近、会計不祥事件を起こしたT社に対しては、機関投資家の
グループに声掛けするから対話してくれと会社に依頼したところ
断れたと呆れていました。

ESG関連で問題が生じたときの対話を通じて改善を求めるが
APGの売却ルールは二年間粘っても変化がないときに縁を
切るようです。

APGのCEOのDick Sluimersさんの話もかなり刺激的で面白かったです。

賦課方式(Pay As You Go) 年金給付であろうが、積立方式(Funded
System)年金給付であろうが、給付金の財源は確保しなければ
ならないが、賦課方式の場合はその財源は国内で生じる保険料に
限るので限界があるが、積立方式であれば投資を通じて国外の
成長の恩恵を被ることもできる。よって、APGは90%をオランダ国外
で運用するようです。

また、APGの「進化」も興味深ったです。

1990年代は90%債券で5%株式の資産配分でしたが。それが、
2000年には50%債券で40%株式になり、
現在では31%債券、34%株式、そして、35%オルタナティブ(PEファンド、
ヘッジファンド、インフラストラクチャーファンドなど。)

つまり、年金基金は長期的な資金なので流動性が低い投資に
配分して、超過リターンを狙うことができるという考えです。
かなり、洗練されたプロの機関投資家です。

GPIFの最高投資責任者の水野弘道さんが長期投資に取り組んだ
ときに、短期的な市場変動に不安を感じる世間にどのように対応
するのかと問いかけたところ、Sluimersさんは、「年金運用は
マラソンなので、いちいち腕時計を見る必要ないと、1年ぐらいの
実績には興味なく、5年もあまり興味ない。10年ぐらいになってくる
とやっと興味が持てる。。。もちろん、そのためには信用が必要
だけどね」という、これもまた確たる長期投資のコミットメントを感じ
ました。

また、ESGに関しては、長期的には良い結果を還元している
というコメントがありました。いやはや、世界最大級の長期
投資家の勇ましさは素晴らしいものがあります。

それにしても、このランキングを見ると、日本の年金制度は
Adequacy(充実性)、Sustainability(持続性)、 Integrity(確実性)
の側面では下から数えたが早く、中国やインドネシアより下!
のようです。やっぱり、これは年金制度だけに自分の未来の
豊かな生活を任すことなく、日本人の現役は自分自身の意志で
長期的なつみたて投資に取り組みべきという、はっきりとした
メッセージが読み取れますね。

20151110pension_ranking

クロージングには訪日中のオランダのルッテ首相のご挨拶が
ありました。質疑応答の時間があったので、このセミナーの
後に安倍総理との会見が予定されていたようなので、こんな
質問をしてみました。

「日本政府はTPPの完結に取り組んでいますが、農業の関係者
からの反対があります。また、農業分野は今回のセミナーの
テーマである高齢化に悩まされています。世界第二の農産物
輸出大国(そうなんです!米国の次)のオランダとして、何か
安倍総理にアドバイスいただけることありますか?」と。

お答えは、極めて政治家っぽく「我々も農業政策で色々な過ちを
起こしていた。その過ちを共有し、お互いから学べ合うことが
たくさんあると思う。」 まだ、40代でナイス・ガイという印象でした。

20151110_dutch

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