
こんな記事が、Bloomberg Newsで流れていました。
Japan’s Debt Burden Is Quietly Falling the Most in the World
え? 日本の債務負担が世界で最も減っている? それも静~かに?
そりゃ、そうですよね。政府系機関の日本銀行が、政府の負債を買い取っているので、民間が保有する政府政務はどんどん減っていく。 けれども、これでリスク(不確実性)が減る訳ではなく、むしろQuietlyに増えてゆく展開になっています。
記事の最後のパラグラフで「債券王」のBグロス氏のコメントについて、同じような頭の体操したことあります。仮に、日銀が全ての日本政府債務を引き受けて、民間の国債保有がゼロになった状態で、どうなるか。。。
日本政府が、そんな債務を無しにしましょうと日銀に伝え、日銀が親から言われたままにすれば、1000兆円以上の債務が世の中から失せます。民間はその国債を持っていないから負担がかかることない。。。 Sounds good?
Maybe。。。 でも、資産に大きな穴が空いた日本銀行はどうなるのでしょう。
H28年3月末の日銀の貸借対照表における貸し方である資産は405兆円、その内「国債」が349兆円です。一方、借り方の内、日銀の純資産は3兆円で、負債は402兆円です。つまり、日銀は超レバレッジがかかっている金融機関なのです。その負債のうち、95兆円が日銀券(経済社会に流通しているお札)で275兆円が当座預金です。
では、資産の大半がゼロになった場合、貸借対照表がバランスするために何が起こるのか。
純資産(政府による日銀の増資など)が無い限り275兆円の当座預金は凍結され、日銀券の価値がゼロになる。。。
ということは、今度は、国債保有がゼロで安心だと思っていた金融機関の資産(日銀に預けている当座預金)に大きな穴が空きます。そして、我々の財布に入っているお札が紙クズになる。。。 現金の担保は政府の信用ですから、その信用がなくなるということは、現金の価値がなくなるということなります。
政府(通貨の番人)の信用がなくなるということは、為替レートは超円安になります。輸出産業には大きな追い風が吹きますが、食料・エネルギーなど輸入産業、そして、保有していた現金が紙くずになっている一般家計は超大打撃を受けます。
かなり、怖いシナリオです。それが、Quietlyに進んでいる。これが今の日本の現状です。
いやいや、政府が日銀に資本を注入すれば良いのではないか。
そうですね。ただ、その政府の財源はどこから? 新たに日本国債で借金して、その国債が日本銀行が買う? まさに異次元。
また、政府の借金だけに注視するのはフェアではなく、資産も見るべきだという主張もあります。
そうですね。ただ、会社会計と同じように考えるのであれば、政府の純資産も見るべき。それは何なるのでしょうか? 税の徴収権かもしれません。でも、それでも債務超過になっている会社になりません? 債務超過になっている会社が借金できますか? それもゼロ金利で。
いずれにしても、財政破たんという悪夢のようなシナリオが進む場合、一番負担が圧し掛かるのは日本の一般国民であることは明らかです。
目先、消費税が上がらないことでほっとする気持ちはわかりますが、それは、この悪夢シナリオの可能性を高めている、、ということも理解して上で国民が判断すべきでしょう。
特に、若い世代の皆さん。声(票)を持ってますね。 こういう未来に残る借金問題のことを決めているのは年功序列で良いんでしょうか。
いやいや、でも、こんなことを言っている人は過去数十年間いるけど、まだ起きていないじゃん。そうですね。でも、今まで起きたことが将来を保証する訳ではないのであれば、今まで起きていないことが将来に起こらない訳ではないですね。ちょっとだけ高台に家を建てた方が、結果的に良かったですね。全く来ていなかった大津波が押し寄せてきたときに。
自分の資産を全て円預金に入れているだけではあれば、この頭の体操によって、高台へちょっと移動した方が良いのではないでしょうか。そんなことを考えるきっかけになるようであれば幸いです。