株式ETFを金融緩和ツールに使うべきではない
マーケットは、時に過剰に変動するときがあります。
想定していなかった大きな出来事が発覚すると、そのときのマーケットの持ちポジション
(短期筋の場合が多い)が偏っていたりしてすると、焦って一気にそのポジションを閉じよう
とするので、マーケットの価格に「厚み」(つまり、流動性)がなくなり、大きな衝動が走ります。
そんなとき、政府の介入の役目はあると思います。
ただ、マーケットの役目の基本中の基本は新たな情報を消化する「価格発見」の機能を
多数の参加者の思惑(試行錯誤)により果たすことです。そこに、政府が監督ではなく、
巨額な資産を動かすプレイヤーとして参加すると、多様性を失われ、市場の価格発見
機能が損なわれる恐れがあります。
マーケットの基本は、民より、民のための存在です。その民の主体性が失われる世の中は
官製市場、国家資本主義です。
もちろん、そんなことが目的ではなく、金融緩和の政策が本来の目的であるということは
承知の上です。
でも、現在の日銀の金融緩和の一環として株式ETFを購入することは、本来の目的では
ない道を歩んでいる。そんなことを危惧しています。なぜなら、その道の先は、もっと
もっと大きな破壊的なショックへと通じるからです。
批判ではありません。徒に危機感を煽ることでもない。しっかりと、建設的な議論をお願い
したい。そんな想いで、今回の日経ヴェリタスと日経電子版のコラムでは同じテーマに
ついて書きました。
「市場をゆがめる日銀のバーチャル・マネー」